枕元に吊るしておいたはずのものになかった。 ため息を隠さずに対岸の電車を眺める。 ひとがたくさんつまった箱が連なって流れていく、 ばらばらの運命共同体。 ひとりひとりがひとりひとりのままで、 それはつま先から跳ねた泥みたいなもので、 こびりついても三日後には乾いて落ちる、小さな感情。 ひとりが集まればみんなになるのか。みんなはひとりではないのか。 くつしたに答えがなくて、サンタクロースに失望した夜。 本当はみんなひとりだったら、静かに星を見たい。 2015/4/11