明け方の空に星が溶けていく。
去っていく季節をとどめようとしても
あなたとわたしの距離は流れるばかりで。
対岸、
すくい取ってもらえずに打ち上げられてしまった。
握っていたはずの手はとうに離れて
手首から先
頼りなげに浮いている。
とっくに終わっていることだった、
いつの間にかなんて甘ったるい響きも似合わないほどに。
引き延ばしていることを自覚しないように
鼻歌を歌っては
言葉をノイズにして
絡めた指先が徐々に引き攣れていくことに
目をつぶって。
引き剥がした痛みなどなかった、という顔をしているけれど
どちらのものかもわからないほど
癒着してはいなかったから
瘢痕もやわらかくなって
輪郭をあいまいにして。
身体を起こす。
夜明けの
ほの暗い空に指を開く。
答えは指し示されていて、それは
溶けていく星々。
糸がもつれているのなら
また会う日もあるだろう。
新しくならざるを得ない季節に
あなたとわたしの明日は
別々の方角へと向かっていく。
2017/3/7
「おさななじみ」をふくらませて角度を変えてみたものです。