冬の朝日

眠りを超えて立ち働く身体の調べを、わたしは聴き取ることが下手で、電車ではぼんやりうたた寝ばかりしている。わたしの境目も、うろうろ柔らかくなって、こんなに降る光の粒をなじませる。

すっかりわたしの気配は静まり、感覚だけが脈打つ。走行音、話し声、薄目の向こうに瞬く窓、にじむまつ毛、落ちるまぶた、ほんのりざらついたシート、空調のぬくもり。

呼吸をする、その動きだけで世界と繋がっている気がした。冷たくあたたかい匂いの、空気が通っていく。身体とわたしの境界線を知らされるようで、感覚はいったいどちらの領域。

水面の乱反射を思う。川を渡るたびに車体は震えて、わたしが揺り戻される。はっと目を開く、眠りの残滓を振り切って。水面は雨でも煌めく。その光はいつも、のぼっていくので、車体を包んでまぶしいことだろう。

ひとみを貫く直線の光、薄青い空、ゆったりと覚醒する。冬の朝日、鋭くわたしを呼ぶ。
まっすぐプラットホームに、立つ。

通り過ぎる貨物列車の重みのある音が、始まったきょうを喜ぶ。ところどころ現れる空白部分、光に濡れた厚みのある金属が、あしたの匂いを乗せて疾駆する。

2018/12/8