月が明るくて星が見えない
街の夜は紺色、
あざやかな。
ビルのてっぺんのネオンも
道端の看板の電飾も
ぴかぴか光って
ささやかな祝福、
一日を生きのびましたね。
アスファルトに弾む足、
今はヒールの音も柔らかく響いて
明るいスカートをひるがえし、
さらさら進む。
落葉し始めた並木に
掛けられたコードは
イルミネーションの支度、
コンビニでは
おでんがセールになる。
工事現場のクレーンは
先っぽを赤く灯して眠っている。
その先に月、
赤、黄色、紺色、混ざって。
スマホのカメラではぼやけてしまう
色をひとみは捉え、微笑む。
だんだんと凍って
研ぎ澄まされる空気に
薄手の上着をかき寄せながら。
冬の気配に
自転車のサドルは
つやめく。
2018/11/18