隙間風

首が明るい
ポニーテールが行き交う
朝の道は静かに体温が満ちて
昨夜の夢の欠片が光る

なりたかったもの
できたはずのこと
置いてきた日々をたまに
覚えていたことに気づいて
そんなときは わたしを
隙間風が吹き抜ける
川面から光が昇っていくのを見て
ここが現実
キラキラしない鈍った光が
目には優しくて
ドライアイでも泣けるのだ(泣かない)

お湯落ちフィルムマスカラと
ウォータープルーフアイライナーを
装備した顔で
いつまで経っても溶けきれない
この街を闊歩する
まっすぐに歩こうとしない足で
うっすらとした足あとを残したい
百年後には忘れられている
それでよい
冷えた胸を列車の
暖房でぬるくして
わたしの朝はわたしが分かっている