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日々を営む――台北暮色雑感

あまり映画は見ない方だ。だけどたまに映画を見たくなる。そういう時は、ミニシアターのサイトを見て、気になった作品を見る。数多く見てはいないけれど、大手の映画館よりもミニシアターの作品の方がしっくりくる。
今回も、テアトルと、シネリーブル、出町座のサイトを見ていて、出町座でかかる「台北暮色」が気になったので行ってみることにした。
思えば、年頭から映画は見たかった。三が日に梅田まで行って、テアトルの近くで時間を潰しているうちに体調が悪くなって帰った。そのあとピンとくるものがなく、2月は旅行とライブに行ったこともあり、映画鑑賞は3月まで延びたのだった。
出町座は想像以上に小さな映画館だった。1階にカフェと本屋さんがあるというからそこそこ大きいのかな、と思ったら、映画館の受付とカフェと書棚がくっつかんばかり。
スクリーンも小さくて、座席数も少ない。この、小ささの中で見たのもよかった。
大きくて強いストーリー性はない。主人公たちの日常を切り取ることによって、台北の街や人が醸し出す空気や温度を描いている。色合いが鮮やかすぎず淡すぎず絶妙だ。また、主人公3人は全く違う個性や背景を持っており、人にはそれぞれの事情があって、それを隠しながら、たまに見せてしまいながら、日々を営んでいるという、当たり前と言ったら当たり前のことを感じた。構成もよかった。主人公たちがともに行動するシーンと独立して行動するシーンのつながりが滑らかだったと思う。終わりも、まだ日常は続いていくのだな、と感じる終わり方だった。
いい気持ちで出町座を出て、鴨川デルタに降りていった。太陽の光があかるく、こんなにも日常は眩しい。階段脇にたんぽぽが咲いていた。
運動神経が悪いので、川の中の飛び石を慎重に渡る。歩幅を広くすれば無理なく進めて、この時ばかりは背が高いことに感謝した。
もう一度見たいので、シアターセブンか元町映画館まで行こうと思う。Blu-rayかDVDになるとよいな。