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2020/11/13-14 尾道一人旅

有休がたくさん残っていたので、予定はないけれど金曜日に休みを取っていた。それで、尾道に一人旅しようと決めた。以前、四国に行く途中で千光寺公園だけに寄ったとき、そこから見える景色が明るく綺麗だったので、ゆっくり町を歩いてみたかった。

旅行を予約したとき、新型コロナウイルスの感染者数は少なかったけれど、11月に入って増加、第三波到来とも言われ、旅立つか迷った。
わたしは観光地を巡るよりは町を歩き回ることが好きなので、乗り物以外の人混みには行かないようにすること、マスク着用と手洗い・手指の消毒を徹底することを心がけて出かけた。当たり前だけれどお手洗いの後は石鹸で手を洗い、お店や施設に入るときは必ずアルコール消毒をし、食事前にはアルコール除菌のウエットティッシュを使用。マスクは食事の時以外は外さず、飲み物を飲むときはずらすにとどめた。体温は朝晩測った。
よい気分転換になったと同時に、このウイルスが収束しない状況下で生活することに、良くも悪くも慣れてしまっている自分を感じた旅行でもあった。

尾道は海の町で坂の町だった。尾道駅を出ると、すぐに海がある。
1日目。まず、尾道駅の2階にあるお店でサンドイッチを食べる。今までで一番ではないかと思ったくらい美味しい。
ロープウェイで千光寺公園に行く。展望台に登って尾道水道を一望する。
尾道市立美術館で山本二三展を見た。わたしは知らなかったのだけど、有名なアニメーションの背景美術の方。絵の具を使い筆で描かれているその絵の緻密さと美しさに、山本さんの目と手はどうなっているのか、と驚くばかりだった。特に、もののけ姫の「シシ神の森」が凄まじかった。光までも描かれている。
千光寺にお参りして、おみくじを引いた。そのあと、文学の道を歩く。ロープウェイの山麓駅近くのカフェで文庫本を読む。尾道のライムを使ったスカッシュが美味しかった。商店街を歩く。

ホテルにチェックインして、しばし休憩し、少し早めに晩ごはんを食べるべく町に出る。とはいえ、まだ早かったので、海の端を歩く。公園と言っていいのか、ベンチが至る所にあった。道も歩きやすい。夕方から夜にかけての海もよい。向かいの船舶ドックなどの光が海面に映って、まぶしい。真横に海を見ながら歩くのは気分がよい。翌日は明るいうちに同じ道を歩こうと思った。
晩ごはんは、駅前で尾道ラーメンを食べた。お店は有名らしくサインが何枚も飾られていたけれど、わたしが行った時間は空いていた。ラーメンは背脂で脂っぽいのかなと思ったら、そうではなくスープに程よいコクが出ている。翌日のお昼はいくつものラーメン屋さんに行列ができていたので、晩ごはんに食べるという判断は正解だった。

晩ごはんまでにいくつかのお店でお土産も買った。レモンバター、八朔マーマレード、八朔ゼリー、八朔紅茶、レモン紅茶など、すべて柑橘類が入っているものを選んでいた。わたしは柑橘類が好きなんだな、と改めて思った。

2日目は、喫茶店でモーニングを食べることから始め、ちくま文庫の『適切な世界の適切ならざる私』(文月悠光)を読み終える。

活版カムパネルラで活版印刷体験をする。絵柄を決め、活字を拾い、組み版をし、インクの色を決め、紙を選んで、印刷。何に刷るかは自分で決められて、わたしはカード5枚とA5ノート2冊にした。印刷機のレバーを押す手応えがとても楽しい。あっという間に約1時間が経っていた。ノートは詩を書くために使う。

体験後、お店の前の石段をずんずんと上る。景色がよい。千光寺の近くまで上ったらしく、お寺の手前で横に折れて、別の石段を下る。猫がいる。人を警戒していない様子。踏切を渡って、商店街を突っ切り、海沿いのカフェでお昼ごはん。カフェのお洒落なごはんというより、定食に近い印象。上手く言えないけれど、地に足のついた感じの美味しさだった。

本屋さんに行く。弐拾dBと紙片。傾向は違うのだけれど、どちらも味のある本屋さんだった。1冊ずつ本を買った。

まだ時間があるので、海の端を歩く。写真を撮っていたらベンチに座っているおじいさんに「観光ですか?」と声をかけられ、「はい」と答えると、尾道の景色や歴史の説明をしてくださる。お互いの距離は十分とって話を聞く。おじいさんと別れて、海沿いを進む。途中でアイスモナカを買って食べる。

暖かな日だったので、海が見えるベンチに座って紙片で買った詩集『DOOR 2016』(橘いずみ)を読む。『DOOR 2017』と花椿文庫を持っているので、詩の棚の端っこに差されてあるのを見つけたとき嬉しかった。本の形が凝っている。
続けて弐拾dBで買ったエッセイ集『どこにでもあるどこかになる前に~富山見聞逡巡記~』(藤井聡子/里山社)を読み始める。日差しが暑くなり、尾道駅前の喫茶店に移る。半分くらいまで読む。帰宅後に最後まで読んだ。

最後に尾道駅の2階に上がって、海を眺めた。もう帰るんだなぁと思うと寂しかったので、ウイルスが収束したらまた来ようと思った。その時はもう少し時間を取って、船に乗って島にも行きたい。