月報 2024年8月

 月の初めに文学フリマ大阪で出す新刊『戦略などなかった』が納品された。想定通り、可愛らしい見た目に作れたと思う。表紙のデザインは今後も日記本を作るならこれにしようと思っている。エッセイ集は詩集より広がりやすいだろうし、次の詩集は私家版にしようかなあと思っているのもあって、「一冊!リトルプレス」という書店との取引プラットフォームに登録した。非常にアカウント開設に手間取り、運営に問い合わせもして、アカウント開設の申請をしてから2週間か3週間くらいかかったけれど、書店から受注できる状態になった。「一冊!決済」というクレジットカードを使った決済システムを使えるのでお金のやり取りなどを個別にしなくてよいし、受注もWebサイト上で確認できるから活用していきたいところ。

 世間はお盆休みだけれど、わたしにはここ数年関係がなく、普通に出勤している。前の職場は交代で夏休みを取ることになっていて、今の職場はそもそも夏休みがない。休みたい人は有給休暇を取る。それで、ちょうど日曜日にライブがあったものだから、これ幸いと月曜日に休みを入れ、仕事の状況を見るに金曜日も休めそうというわけで週に2回休んだ。やることをやっておけば何も言われない。

 ライブはライブハウスでのスタンディングで初めて最前列だった。それもど真ん中。びっくりした。最前列だと本当に汗の雫とかビブラートで震える喉とか細かなところまで見えて、全身全霊でこの会場中に届くよう歌っているのだなと思っていた。ライブ会場では楽しくて幸せなばかりで、終わった直後から腕や脚が痛かったことすら嬉しい感じだった。ホテルに戻って「よいライブだった」と思ったらなぜか泣けてきて、目が真っ赤になっていた。

 わたしがライブへ行くのは歌に心を動かされているからなのだけれど、わたしも詩で読み手の方の心を少しでも動かせているから、詩集を読んだりお店に並べたりしていただけているのだろう、とふと思った。これは当たり前のことではなくて、誰かに届くというのはちょっとした奇跡なのだ。